私がまだ小学校の高学年の頃である。いきなり1960年代の話になって申し訳ないが、あまり気にすると将来、良いことがおきないぞ。
じいさんは非常にいい人柄で、毎朝、食パンを買いに行ってくれた。それがだんだんと私たちに都合よくなってきた。
朝食だから食パンだけでいいのだが、
「菓子パンを買って来たらあかんで」
と言うと必ず菓子パンを買ってくるようになった。最初は孫が菓子パンを欲しがっているから買ってくるのかと思っていたが、どうもそうではないらしい。
まだしかし老人ボケの初期というぐらいである。
当時は、認知症という言葉自体がなかった。その前は痴呆症と呼ばれていたが、痴呆という言葉が侮蔑的であるということで認知症という言葉ができた。1970年代前半は痴呆症という言葉も一般的でなく、単に老人ボケとか恍惚の人とか言われていた。(今ではボケと認知症とは意味が違うが当時は同じ)
菓子パンである。私はこちらの方が欲しいのである。 |
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