2018年3月8日木曜日

じいさん溝にはまる

その時、私は家にいなかった。私が家に帰って来たとき、じいさんがいなくなっていた。いつもの散歩(徘徊)である。あてにはしていなかったが、ばあさんに
「じいさん、知らんか?」
訊いてみた。案の定、
「知らん」
の一言で片づけられたが、
「ちょっと、捜してきて」
とのこと。言うんじゃなかったと思いつつも、あちこちあてもなく捜していると、家からさほど遠くない所で人が数人集まっている。もしやと思って近づいてみると、もしやであった。深さ30cmほどの溝に落ちて、さらに足を打って血がにじんでいて、痛かったのだろう、溝の中に膝をついてうめいていた。
みなさんのご協力により溝から引き上げると、ズボンがドロドロになっていた。
「姫路へ帰る」
とじいさんは言っていたらしい。認知症になると昔住んでいたところに帰りたがるという。じいさんも姫路の自宅に帰りたくなったらしい。姫路の家は2軒に建て直して昔の家は残っていない。しかもそこには本家と姫路に残った分家が住んでいる。私は面識があるので、
「よく来たね」
ぐらいは言ってくれるだろうが、じいさんは明らかに迷惑である。
とにかく家へ連れて帰ったものの、ばあさんはじいさんを叱るばかりで何もしない。私は仕方がないのでズボンをはきかえさせて、けがの手当てをした。

認知症がちょっとひどくなってきた頃である。


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じいさんのような人がいなくなることを願っています。






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